2013年5月19日日曜日

JuneBrideに憧れて#7-美島優の物語

JuneBrideに憧れて


















第二部-小さな未来





















  ・・・あれから、3年が経ち。 俺たちは無事高校を卒業した。













 向こうの親も、俺の事を認めてくれてるようで、 杏奈の頼みもあり、来年 6月に入籍する予定まで決まっていた。



















今はまだ9月。







  半年以上時間がある・・・ まだ「同棲」しているだけだが。







 



  実家の仕事をさせてもらえるようになった俺は、毎日働いて、休みの日には杏奈と町に遊びにいったりなんかしてた。









     平和な毎日だった



























  そう ついさっきまでは。



















    ほんの数分前の事になる

























 突然、杏奈が倒れた。



   公園でのんびりしてた杏奈が、急にだ。



 話しかけても返事をしなかったので、すぐに救急車を呼んで、病院へ向かった・・・。





 杏奈が、悪ふざけでこんな事するはずもない・・・。





    俺は心配でパニックに陥っていた。













 9月16日



   



   青空が綺麗に澄み渡っている日だった。





































 手術室の明かりが灯る。





  





   ・・・杏奈は 大丈夫だろうか・・













      ──ついさっきまで、あんなに元気そうにしてたのに・・・。









 さっきまで笑っていた、確かに杏奈は元気そうだった。



















    ずっとそんな事が頭の中を駆け巡る





 何時間か経ったのか、部屋から、一人の医者が出てくる...













  「先生! あいつは・・ 杏奈は大丈夫なんですか!?」















     医者は、表情を少し曇らせこう言う・・・。

















        「一命は取り止めました・・・、でも・・・」













  

          「そう、長くは持たないかも・・・しれません...」









             「──残念ながら・・・。」























   長くても3ヶ月 と、そう聞かされた。



















         「本人には言わないでください。 症状が悪化してしまう事もありますので…」





















    ──さっきまで元気そうにしてた人間が・・・そんな…

















  カタカナで小難しい病名は覚えられなかった、けど。







      未だにはっきりとした治療法が見つかっていない、難病だと言う事





         そして、余命が告げられた事















これだけを覚えてる

























  意識は戻ったようだが、次 いつまた発作が起こるかもわからない。





     その発作が起きた時・・・ それが最後になるだろう、とそうも言われた。





















 杏奈は、しばらくその病院に入院する事になった・・。















    意識もはっきりしていて、こんなに元気そうなのに



  













       会えなくなるかもしれない





 そう思うと 言い知れない悲しみが身を包んだ。

























  「・・・ねぇ、優くん?」





        「──ん?」







  「どうしたの? 深刻な顔して・・・、 私、大丈夫だよ?」









    杏奈がこっちを見て微笑みかける・・。









  『コンコン・・・』





      誰か来た様だ、病室の扉が開く・・・。



















         「あれ、真也と・・・柴咲さん・・」











   「こんにちは、亜子ちゃん、柳川くん。」







              「杏奈ちゃんが倒れたって聞いたからさ、飛んできちゃったよ・・・。大丈夫なの?」





            「ぁ、これ・・・ お花持ってきました・・。」









  「柳川くん、ありがとう  綺麗だね。 私は大丈夫だよ。」







               「そっか、よかった・・。」



















   あの時以来、この4人で会う事は多くなっていた。











  「そういえばさ、私、二人がどうやって付き合うようになったのか聞きたいなぁ・・。」









     「こ、こら杏奈・・。」







        「んー・・・、私はいいけど、真也君 話してもいぃ?」





           「うん、いいよ」









     「ったく、まぁいいけど・・・」









         「えっとね・・・」













   柴咲さんは、ゆっくりと話し始める・・。

















  (なんか、俺たちのと似てるなぁ・・・。)











            「でさ、名前と誕生日を・・・」









  「ぁ・・・ それ! 私も・・・やろーと思ってたんだ♪」







 杏奈は、恥ずかしそうに鞄から小さなメモを取り出す・・。







      「杏奈・・・ それ、もしかしてずっと持ってたの・・・?」









  「ぅん! 大事な思い出がつまってる・・。」









    俺の名前と、誕生日の下に、杏奈の名前と誕生日が書かれてる・・。











            「へぇ~、いいなぁ~・・。 私のは、燃やしちゃったからなぁ・・。」





                「僕は、燃やさずにあるよ。燃やす勇気がなかっただけなんだけど。」









              「でも、思い出ってさ、やっぱ残しときたいじゃない?」





















   (大事な思い出・・・か...)





     俺は、杏奈の持ってる小さなメモを見つめ、心の中でそうつぶやいた...























  そろそろ、面会時間が終わるようなので、柴咲さんと真也は帰らせる事にした。







       「じゃあ、僕たちは帰るね。 お大事に・・・。」







  「ぅん! 来てくれてありがとうね。」





            「杏奈ちゃん、また遊ぼうね!」





  「ぅん!」









      「じゃあ、とりあえず俺も手続きだけ済ませてくるよ。」





  「うん! 待ってるね♪」

















     俺たちは、そう言って病室を後にした・・。



















 「でも、杏奈さん 元気そうでよかったね。」





      「ほんと、安心したわ・・。」

















    ・・・こいつらには、言わないといけない気がする・・・。

















         「あの・・・さ、その事なんだけど・・。」





















    「どうしたの? そんな顔して・・」











   たった一言話すだけなのに、こんなに悲しい感覚に襲われるなんて・・・。





          口を開くと、自分がわからなくなるような辛い感覚が身を包んだ・・。























   「あいつは・・・ 杏奈は、もう長くないらしいんだ・・・。」







         ・・・3ヶ月、  杏奈といる時間に確かに俺は、「永遠」を感じていた。





   でも、こんなの・・・。



















     「ど、どうして!? あんなに元気そうだったのに・・・。」









   もしかしたら杏奈は、俺たちに心配かけさせないように 元気に振舞っていただけなのかもしれない。



  本当は苦しいのに、辛いのに・・。



















   「──それで、後どのくらい・・・?」















        「持って、三ヶ月・・・」







  









    しばしの間、沈黙が流れる・・。















   「もう、どうにもできないの・・・?」











      





    俺は、涙をこらえるのに必死で、ただ、黙って頷く事しかできなかった。



















  まだ、自分でも現実を受け入れられない。









    深い悲しみだけが、俺の世界を優しく包んでいった・・。

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